小満の候 実山椒を仕込み中にて
春から初夏にかけての日本料理では山椒は欠かすことのできない素材でございます。
空豆、米烏賊、淡竹、蕨、と時候の素材を炊き合わせ主役の花山椒を盛った料理でございます、旬の大変短い花山椒はあまりお馴染みではないようですが、その時節においては料理の中の万能選手でございます。
春から初夏にかけての日本料理では山椒は欠かすことのできない素材です。
3月ごろのまだ若い柔らかい新芽を「木の芽」と称し、多少に育って硬くなると「葉山椒」と申します、そのうち(4月後半頃)花が咲くと「花山椒」、実になり(5月後半)実山椒、この完熟した実を干して粉末にした粉山椒でございます。
同じ山椒といえども全て味わい薫りに違いがあります、また料理法もそれぞれに異なってくるところがお客様のお楽しみの一つかと心得ます。
私どもでは一年中「ちりめん山椒」など常備いたしますので実山椒が入荷できる時期には1年分を塩漬けにして冷凍保存いたします。
枝より一粒一粒をむしり取る作業は少々手間がかかりますが、その後は銅鍋にて湯がき少々水に晒し塩漬け保存して常備いたしますといつでも使用出来る日本の香辛料でございます、夏から旬を迎えるイワシを炊くときにもこの山椒の実を加えるだけで大変味わいに幅が出てまいります、ご家庭のお料理にも「日本の季節の薫り」、是非お勧めいたしたいのでございます。