虹始見《にじはじめてあらわる》

山椒の若芽のことを、「木の芽」と称します。
「木の芽」に始まり、花がつけば「花山椒」、その後に「実山椒」、初夏には「葉山椒」、熟した実を干して作る「粉山椒」・・・
ゆず半年、山椒半年で日本料理では大変お世話になる素材でございます。

その山椒の「木の芽」と称する若芽を擂り鉢ですり潰し、しっかり練り込んだ玉子味噌にてのばし、菠薐草などの青物から採った青寄にて色合いを整えて「木の芽味噌」を作り上げます。
その、木の芽味噌を焼いた豆腐にしっかりと乗せて焼き上げたものが春の風物詩「木の芽田楽」でございます。
年を通して一時期だけにしか作れない料理ではございますが、その季節にしか出来ない表現を作り上げおもてなし致すのが、日本料理の醍醐味と考えております。