大寒末候

二十四節気の最後「大寒」の候もあとわずか節分が終わるといよいよ立春、寒さはまだ続きそうですが立春から上巳の頃に向けて気持ちの上では「一陽来復」、料理も少しづつ春めいてまいります。
しかしながらまだ寒の内、暦の上でも一番寒い時候でございます。
最初にお出しする向付は温かみのある趣向にて「蓋向」、「筒向」などと致します。
益子焼の蓋向に熱々の柚子味噌、二月の初午にちなんでお稲荷さん。
茶事の懐石とはちがい最初からお酒を召し上がれますよう塩辛の坪々を少々添えてございます。
槍梅の絵柄は乾山写しの筒向、中には鶉の山椒焼と辛子和え。
寒中にて玄関には火鉢を用意いたします、柔らかい炭の火もご馳走の一つかと思う次第でございます。
今の時候を称する古い季語に「春隣」(はるとなり)という言葉があるそうです、寒く厳しい冬を過ごしながら春の到来を楽しみにする心、今も昔も同じようでございます。