蟄虫坯戸《むしかくれてとをふさぐ》

日本の節句はわが国本来の暦にて行いたく候・・・菊花寿

旧暦9月9日(本年は10月9日)は重陽節でございます、明治までは五節句の中で最も盛大に行われていた、菊の節句でございます。
江戸時代には庶民の間でも菊の着せ綿の露にて若返りを願い、栗ご飯を食べ菊酒を飲んで長寿を願ったと言われております。
日本料理では季節を重んじ節句、雑節などの趣向にておもてなしをいたしますが、今の暦では九月といえばまだまだ暑く、菊の花など咲くわけもなく栗も実らず、やはり本来の日本の暦である旧暦の頃を見はからって行っております。
明治政府が深い考慮もなく欧米から取り入れた太陽歴、まったく日本人の生活には折り合わず、日本の節句・雑節・暮らしにズレが生じ日本の季節感をなくしていったように感じられます。
日本には長い歴史で培ったどこの国にもない文化・文明があるにもかかわらず、明治になると衣食住・文化・趣向・・・、欧米のスタンダードを取り入れることを「文明開化」と称されました。
日本は独立国です、独自の暦、文化、言語、末長く大事にしたいものでございます。
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菊の「着せ綿」を少々ハイカラにアレンジして床飾にしました。