麦秋至《むぎのときいたる》

梅雨入りしたようですが、梅雨に入って美味しくなるのがまず「鱧」でございます。
梅雨の水を飲んで旨くなるとよく言われますが日本料理の夏の代表素材(西では?)です。
鱧といえば骨切り、修行させていただいている時期、年季が浅い内はほとんど触らせてもらえない素材でした、上手に骨切りをする熟練の技術は見ていると大変簡単そうに気持ちよくシャキシャキと切れていきます。ただ細かく切るのがいい骨切りとばかりは言えず、身を飛ばす切り方が一番嫌われます、切った時に所々身がちぎれてしまうような切り方で経験の浅い料理人が細かさばかりを気にするとこのようになりがちです、(仕上がりが縮れた団子のように見えてしまいます)一枚一枚きちっと身が立っているのでないと合格とはいきません、これには包丁の角度や切り方色々な要素が含まれます、この骨切りによって「落とし」「葛打ち」など出来上がりの見た目は雲泥の差となって現れます。

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「見てくれは悪いが味は良い・・・」など料理においてあり得るわけもなく、見て味は悟れるものと思います、一枚一枚キリッと身が立った「鱧の落し」などは清涼感があり惚れぼれしてしまう昔ながらの一品です。